せくしょん 12  「一人の “ 寝たきり老人” を通して」





  セクション12は、「新聞・雑誌などの記事・・・その①」


  一部を抜粋する  


過疎地に待望の常勤医師 山間部の医療に取り組む 大川郡長尾町
  多和(たわ)診療所(昭和57年6月12日)


 ・・・6月から青年医師が着任し地域医療に取り組んでいる。・・・「住
  民の気安いホームドクターになりたい。また地域の健康管理や保健衛生の
  勉強会を開くなどしたい」と西原医師。外来診療のほか通院できない患者
  には訪問診療にも出かけたと、やる気十分だ。




住民健康づくりへ 初の勉強会開く 婦人会協力し90人参加 
 多和診療所 西原医師(昭和57年6月25日)
 
   阿讃山系の山中にある大川郡長尾町多和で23日夜、地区で初めての
 「健康に関する住民との勉強会健和会)」が開かれた。・・・着任した
   ばかりの西原修造医師(27)が多和婦人会(真部アヤ子会長、215人)の
   協力で開いたもので、九十余人が出席して熱心に聴講。これからも月一回
 催すことにしており、最近まで医師が時おり通って来るだけだった無医地
   区に、青年医師の手で医療の灯がともりそうだ。 
 


絵を見てできる家庭介護 内科医師が手引書を出版(平成4年8月9日) 


  ・・・陵南町国民健康保険陶(すえ)病院内科医長の西原修造さん(37)
   が・・・「絵で見てやれる家庭介護のすべて寝たきりにさせないため
   に」を出版した。・・・「正しい介護方法をイラストで解説できたら」
   と手引書づくりを思い立った。
   


 月曜随想一人の“寝たきり老人”を通して平成4年9月7日)

    Oさん(83歳、男性)は半年くらい前から「寝たきり」の状態。腰の部分にずれができ、だんだ
     んひどくなってくるので一度みて欲しいという電話を受け、初めて訪問したのが五月下旬のこ
     と。直径8センチくらいで、骨が顔をのぞかせた、確かにひどい床ずれである。床ずれは非常に
     難治性で、時には細菌感染などから命取りになることすらある。
     とりあえず局所処置をと思うが、体を横向きにすることからして極めて困難。ずっと寝たままに
     していたために、体中の関節が固まってしまいちょっと触っただけでもがるのである。
   「痛ーい、痛ーい」に、「ゴメン、ゴメン」とあやまりながら、こちらも汗びっしょりになっ
     て何とか横向きにして処置をする。それから二か月余り毎日通っているが、残念ながら床ずれの
      治癒傾向は殆んど認められない…が、体を動かすこと自体はあまり困難ではなくなってきた。
    「痛い、痛い」と言うのをなだめながら、毎日少しずつ手足を動かしてあげた結果、最初にく
     らべるとだいぶ関節の硬さがとれてきたのである。これからは、床ずれ治療の大原則である体位
  交換(何時間かごとに、体の向きを右向き、左向き、仰向け…と変えていく)を十分行って、少しず
     つ治していけるかも知れない。
     Oさんは昔から右足が悪かったとのことだが、年をとるにつれて、不自由な足を無理して使って
     動くことがおっくうになり、「寝たり起きたり」から「寝たまま」の生活となり家族もそのま
     まにしておいてしまったと言う。
     ここに大きな問題点がある。“我が国特有の現象”とも言われる「寝たきり老人多発」の最大の原
     因となっている“意識”の問題・・・昔から「年寄りにはできるだけ何もさせないで、じっとして
     いてもらった方がいい」という考え方があるが、このことがお年寄りの心身の機能を低下させ、
     ひいては「寝たきり」にさせてしまうのである。このような我が国特有の老人観や、畳中心の住
     宅環境、ボランティアなどのマンパワーの不足等々が相俟(ま)って、寝かせきり」による「寝
     たきりすなわち寝かされ老人が作られてしまっているのである。
     外国には「寝たきり」に相当する言葉がない。欧米では、大半のお年寄りが、一日中ベッドに寝
     たままで過ごすのではなく、介護されながらも努めて椅子や車椅子に座って生活しているのであ
     る。“座るから寝たきりではない”という、単純、物理的な現象を言っているのではない。「寝た
     まま」で天井ばかり見ているのとは違って、家の中の様子や家族の姿、窓の外の景色などを見る
     ことができ、車椅子であれば屋外へ散歩に連れて行くことも可能。すなわち、「行きたい、やり
     たい、動きたい」というような意欲につながり、リハビリの第一歩となるのである。
     また、座ることによって、気管支炎、肺炎、膀胱(ぼうこう)炎、床ずれなどの余病の発生を防ぐ
     ことができる。食事も、寝て食べるよりは座った方がどんなにか美味(おい)しく食べられること
     であろう。
     欧米では、その老人観、生活習慣から“とにかく座らせること”を最重視している。そして、これ
     を実践できるのも、ボランティアなどが十分いるからであり、うらやましい限りである。
     Oさんの診療を通して、福祉行政の実態に戸惑っ。ギャッジベッド(寝たきりの人でもハンドル
     操作や電動で体を起こせるベッド)やエアマット(床ずれ治療のために必須のマット)を使用すべ
     く、Oさんが住む町の役場に援助を求めたところ、「障害者手帳を持っている人でないと、貸与
     も支給もできない」と言う。隣の町であれば、障害者手帳がなくても無料で給付されると聞く
      が・・・何とも言えぬ、はがゆい気持ちで、業者から少しでも安く取り寄せる手配をした。
     公的な老人福祉サービス内容は、自治体による較差があまりにも大きいことを痛感した。“恵まれ
     ない”町に住んでいる人は気の毒で仕方がない・・・

                                                         27年前に書いたものである。新聞に掲載され、当該の町役場からは、シコタマのお叱りを頂戴した・・・が、なんとかグッと持ち堪(こた)えた。その後も、このような自治体間での較差などに関する問題提起を、メディアや講演活動等を通じて全国に向けて発信した。。。この活動を始めてから5年後平成9年「介護保険法」が成立し、平成12年にやっと(公的)介護保険制度がスタートする。 



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